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口腔解剖学

学科目紹介

機能形態学分野では生命科学の根幹を念頭において、医歯薬連携で臨床にも積極的に参加できる解剖学を目指しています。教室では細胞培養、器官培養、移植などの技術と形態学的、組織化学的あるいは分子生物学的手法を適切に組み合わせながら、主にマウスの歯を材料に歯根形成メカニズムにフォーカスして研究を進めています。これまで歯根形成を誘導する組織として知られるHertwig上皮鞘の形成はサービカルループから星状網と中間層が消失することが必要であり、上皮成長因子(EGF)シグナリングがその調節に関わることを報告しました。また、Hertwig上皮鞘による歯根形成過程をていねいに観察した結果、まず内外2層の上皮細胞シートのうち外層の細胞増殖が優位になることでその伸長が生じること、またその次のステップとして起こる歯頸側での細胞シートの断裂には上皮間葉転換が関わる可能性があることを報告してきました。さらにこれらの事象はインスリン様成長因子(IGF-I)や肝細胞成長因子などにより調節されていること、天然物質であるHarmineにも同様の作用がみられることなども報告しました。さらに最近IGF-Iはセメント質形成やマラッセの残存上皮の形成にも重要な役割を果たすことも分かってきました。これからも1つ1つの発生現象について形態学的手法を中心にていねいに観察しながら歯根形成のメカニズムを解明していこうと考えています。

主な研究内容

マウスの臼歯歯胚を用いて歯根形成のメカニズムの解明をメインテーマに研究しています。形態学的手法としては、通常のパラフィン切片の他に、特殊なフィルムを使った未脱灰歯胚の凍結切片による解析や免疫組織化学染色を施した光顕標本を電子顕微鏡の反射電子像で捕らえて観察するアレイトモグラフィー法などを用い、培養系では歯根形成に特化したオリジナル器官培養法を開発し、それを用いてこれまで観察できなかった事象について実験発生学的に研究をしています。これらの方法に加え、腎被膜下への移植実験系、PCRなども含め、さまざまな方法を組み合わせて研究を構築しています。

  1. Hertwig上皮鞘の分化メカニズムの解明
  2. 歯根の伸長メカニズムの解明
  3. 歯根の分岐メカニズムの解明
  4. Hertwig上皮鞘の断裂メカニズムの解明
  5. セメント質形成に関わる調節因子の解明
  6. マラッセの残存上皮の形成メカニズムについての研究

学生へのメッセージ

学部学生への教育は人体解剖学と歯の解剖学を担当していますが、研究は歯の歯根形成に関わるさまざまな調節メカニズムの解明に取組んでいます。オリジナルの培養法をあるいは分子生物学的な手法も取り入れ、形態学的な手法を適切に組み合わせて、ていねいに丹念に研究を進めています。歯根形成の時期は、すでに歯冠の硬組織、周囲の歯槽骨が形成されているため、これまで人工的な環境下での実験が難しい領域でした。そのためまだまだ解明すべきことが多く残されています。その一端を解き明かすべく、ぜひ一緒に研究しましょう。