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平成21年度卒業式式辞

平成22年度卒業式式辞

本日ここに、岩手医科大学大学院学位記授与式、医学部、歯学部卒業証書?学位記授与式を挙行できますことは、本学にとりまして、誠に大きな喜びであります。
只今、学位記をお渡しした新博士?修士の諸君、そして卒業証書をお渡しした医学部、歯学部の卒業生諸君に、心からお祝いを申し上げます。
諸君が今日あるのは、ひとえに今日まで日々諸君を幼少の頃から庇護し、深い愛情を注いで育てて下さったご父母、ご親族の皆様の絶大なるご支援があってのこ とであります。諸君はご家族の皆様に感謝申し上げなければなりません。また、諸君は人生において最大の親孝行をした日となったと言って良いでしょう。そし て、学内にありましては、卒業生諸君を今日の姿にまでご指導下さいました教職員各位に対して、学長として深甚なる感謝の意を表したいと思います。
はじめに、医学部、歯学部の学部卒業生の諸君に申し上げます。卒業、誠におめでとう。
今、諸君が輝かしい未来に羽ばたかんとする姿は、凛々しく、頼もしさを感じます。諸君は学生生活の中で様々な経験を積んでこのように大きく成長し、生涯 の友を得、そして数々の思い出を胸に刻み、本日卒業されるのであります。卒業は、長い人生において大きな節目の日であり、新たな出発への日であります。
医師、歯科医師となる学部卒業生諸君には「良医たれ。」という意味で二つのことを申し述べたいと思います。
第一には、「病を抱えた弱者の立場に立つ良識ある医療人たれ。」ということであります。医療職は、病者を対象とする聖職であります。「医師、歯科医師た る前に誠の人間たれ。」という本学の建学の精神こそが医療人の基本であります。病を抱えた方々の視点に立ち、高い人間性と倫理性を持つ医師、歯科医師とし て厚生済民に尽くすのだという気概を改めて認識して頂きたいと思います。
第二には、「生涯学習を通じ常に己を向上させよ。」ということであります。医学、歯学、医療の進歩発展はめざましく、今日の常識が十年経たずして非常識 に変わってゆく時代です。日々進歩する医学、歯学、医療の中で、生涯にわたり学習してゆくことが「有能な良医」たる条件であります。「誠の人間たれ。」の 意味は「病をもつ弱者の立場に立った医療人たれ。」と言うことであり、これを実践するためには、「日々進歩する医療技術の修得と知識の更新。」がなければ 良質な医療を施すことはできません。従って、生涯学習なしには「良医」であることは出来ず、「誠の医師」にはなれないことを認識して頂きたいと思います。
次に、大学院において博士課程、修士課程を修了し、学位を取得された新博士?修士の諸君に申し上げます。
大学院は、本邦の最高学府の中の最上位に位置するものであり、学位の称号は、学問の深奥を極めた人にのみ授与される価値あるものであります。諸君はこの 称号を本日頂いたことになります。 しかし、これで諸君の学問、研究が完成したわけではありません。むしろ、今後、生涯続く研究の新しいスタートラインについたというべきでしょう。これから は自らが考え、医療の現場から問題点を抽出し、研究を組み立ててゆくことが求められます。また、諸君は研究指導者としての能力を認められたということでも あり、今後は後輩に対する真摯な指導をお願いしたいと思います。 そして、新博士?修士諸君には、更なる研鑽を重ね、学者として医学、歯学、医療の発展のため一層のご努力をされ人類の福祉に大いに貢献されることを切に望 みます。
さて、本学の源は、三田俊次郎先生によって、明治三十年に創設された医学講習所にさかのぼることができます。以来、百十三年の歴史の中、幾多の存亡の危 機を乗り越え発展して参りました。この長い歴史の中には、多くの同窓生各位、教職員の結束と連帯、そして母校に対する献身的支援あってのことであります。 先人のご労苦があってこそ、今日私どもが学ぶことが出来、諸君の今日があるということを忘れてはなりません。
諸君は、本日、この輝かしい歴史を有する同窓の一員となりました。今後は後輩にこの歴史を引き継いでゆく責務を負ったのだという自覚を強くもって頂くこ とを切望します。また、国の政策転換により、念願の医学部の入学定員増が実現しました。これを受け、大堀理事長統理のもとで進捗している総合移転整備計画 が進み、矢巾新キャンパスにおいて学部棟、講義実習棟の増築が着手され、来春には広大で新しい教育施設が完成します。これにより、医学部、歯学部、薬学部 の学部を越えた教育、研究、診療の連携を実践し、世界に類のない新しいコンセプトで新たな大学を創設すべく教職員一丸となって大学の発展と飛躍を目指して おります。諸君は、目覚ましい発展を遂げつつある母校を誇りに思い、その誇りを糧に世界へ羽ばたいて頂くことを切に希望します。
最後に、諸君には、医師、歯科医師、研究者に対する社会の大きな期待を背負って、各分野、各地方で立派なご業績をあげている諸先輩と共にご活躍され、社会に貢献し、引いては、母校岩手医科大学に光を当てる人材になって頂くことを切にご期待申しあげ式辞といたします。

(平成22年3月11日 岩手県民会館)