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人間科学科 [哲学分野]

常識にとらわれず物事を論理的に考える力は、どんな分野の研究をする場合でも必要です。哲学の授業では、そうした思考力を訓練する場を提供します。また倫理学や医療?生命倫理学の授業では、基本的な倫理学説と医療にかかわる倫理の基礎知識を学んでもらいます。

講座?教室からひとこと

遠藤 寿一 教授

哲学とは何をする学問なのかわからない、とはよく耳にするところです。哲学のわからなさは、たぶん、問題設定のわかりづらさにあるのだと思います。たとえば、ふだん私たちは夢と現実を区別していますが、哲学では、現実と信じている世界が実は夢であるという可能性はないのだろうかと敢えて問いかけます。そして様々な思考実験を通じて、夢と現実の区別を再検討し、より適切な夢と現実の定義を与えようと試み、たいていは常識寄りの方向で考察を終えます。結局常識が正しいのなら、なぜ余計な手間をかけるのか。ここがふつうの人には理解できないところだと思われます。しかし疑いを通じて、この世界の構造が見通しのよいものになるというメリットが、実はあるのです。そして、それが哲学の魅力だと言ってもいいでしょう。

倫理学や医療?生命倫理学では、既存の概念や規範を、変化していく現実にそくして吟味しなおし、必要な場合には再編していくことが課題となりますが、そこでも上述の哲学的な思考方法が役に立ちます。

語学を除けば、岩手医大生が文系の教養科目を学ぶのは一年生の時期だけです。短い時間ですが、その後一生触れることがないかも知れない哲学や倫理の世界に、好奇心旺盛な新入生が訪れることを期待しています。

講座?教室の基本理念

「私」「心」「よい」「わるい」といった言葉の意味を人に説明しようとすると、案外難しくて、言おうとしていたことが次第にわからなくなってしまうことがあります。哲学や倫理学は、そうした困惑から出発し、そこに反省の光をあてて、言葉や概念、倫理規範の意味を事柄にそくして正確に把握し、より適切な表現を与えようとする営みです。こうした観点から、哲学の授業では、哲学史的に重要な概念や現代社会を理解するために必要な概念を取り上げていきます。また、倫理学の授業では、高校「倫理」を踏まえ、伝統的に継承されてきたさまざまな倫理規範を検討していきます。また、これと併せて、現代医療の発展に伴って生じてきた問題を考察の対象とする、医療?生命倫理学の基礎を学んでもらいます。

主な研究内容

  1. カント研究
  2. 生命倫理学(人格の同一性と医療倫理の関係)